老舗の挑戦

老舗の信頼を軸に
「未来創造企業」へ

老舗としての歴史・お客さまとの信頼関係

こだまは、1949年の創業の老舗の和菓子屋です。創業者の「甘いものは人を幸せにする」を信念に、人と人の心をつなぐ「つなぎ手」として努力を重ねてきました。
お客さまの幸せなシーンや記憶に寄り添える「思い出販売業」として、本物を追求し続けています。
 
看板商品の「こだまのどら焼」は、仙台の「ソウルスイーツ」として定着し、地域の人に広く親しまれています。蔵王産の卵を使用したふわふわの生地、上品で甘さ控えめの自家製あんこ、そして、それらをつなぐモチモチ食感のお餅(求肥)が生み出す三位一体のハーモニーが自慢です。
このどら焼きをはじめ、こだまの商品は、お客さまと共につくってきたものであり、長年の信頼関係に支えられています。生涯を通して、こだまの和菓子を求めてくださるお客さまも多く、お店に何回も買いに来てくださり、「やっぱりこれだよね」と言っていただけるのはとてもありがたいことです。
 
このように、業歴が長く、長い時をかけてお客さまとつながり続けてこれたこと、お客さまからの高い評価を保ってこれたことが、こだまの自信の核になっています。現在、この老舗としての歴史、信頼関係を軸としながら、地域活性化の新しい事業に挑戦していく、「未来創造企業」へと変革を進めています。

地域活性化への想い

東日本大震災とコロナ禍を経験し、これまでの成功体験に甘んじず、時代に合わせて変化していかねばと危機感を持ちました。また、若者の流出でも思うとこがあり、大学進学等、一時的に出ていくのはいいとしても、戻って来て活躍し稼げる街、人とつながれる街にしたいと思いました。
 
全国規模の大手菓子製造・販売業者との差別化の必要性もあります。地元企業が大手に勝るのは、地域との絆や文化との結びつきだと思うので、地域創生の発想が大切です。
 
地元に住んでいるけれど、例えば、ずんだ餅も伊達政宗のこともよく知らない等、意外と仙台のことを知らない若者も多いですね。自信を持って地元の名物や歴史を語れるようになって欲しいと思います。特に、食文化は地元のアイデンティティだと思います。
 
こうした背景もあり、これまでの和菓子の製造・販売業は大切にしつつ、地元への恩返しと次世代への恩送りのためにも、地域を活性化する名物やサービスなど、仙台の新しい魅力を生み出したい、地元のストーリーを見える化したい、食文化や郷土愛・アイデンティティを育みたいと考えるようになりました。

第3創業期、「未来創造企業」への挑戦

なぜ第「3」なのかと言うと、第「2」創業期は、2代目(現社長の父親)の時代、高度経済成長期あたりだからです。
 
東日本大震災にも大きな影響を受けましたが、第3創業期にならなかったのは、現社長の立志までには至っていなかったからです。
 
コロナ禍を経験し、2020年に地域創生を志した瞬間から第3創業期と捉えています。人が移動することで経済が回ること、人間の相手は人間なのだと痛感しました。地元回帰の瞬間です。
この年に、コロナ禍が原因によるフードロス問題を解決するために、余った地産いちごや卵を使ったどら焼きを開発し、バレンタインイベント等を企画して販売することにもトライしました。
 
「未来創造企業」を目指そうと思ったのは、コロナ禍を経て一緒に働く人が変わったことがきっかけです。2代目の頃から働いていたベテラン従業員の方々が、コロナによる心境の変化やライフステージの変化で退職し、新しいスタッフで新しいことを始めていこうと決意しました。
これは、地域創生に参画するもので、お菓子屋の次のステージです。これまでの伝統的なお菓子づくりに加え、新たな挑戦を進めていきます。
 
新しい試みでは、ターゲットは20代前半~40代の若い世代を考えています。こだまの店舗がある住宅地も、住民の方が年を取っていくため、お客さまの世代交代も必要です。
 
新しい事業を進めていくために、2022年に(株)こだまランドという農業法人を設立し、2023年から稼働し始めました。(株)こだまとは別の法人にしたのは、新しいテーマで活動しやすくするため、挑戦しやすくするためです。
 
こどもの日や和菓子の日など、日本は「〇〇な日」が豊富なので、毎月こだまの店舗では、スモールイベントを月1回で企画・開催していきたいです。例えば、ひな祭りなど、大人になるとやらなくなる日本文化のイベントをお店で開催するといいのではと考えています。また、節分に、社長に豆をまくイベントをしてもいいと思います。
4月4日は、「どらやきの日」だと知っていますか?幸せの意味とどら焼きをかけています。カフェで、自分でどら焼きを作るイベントを計画中です(20243月現在)。こだまのどら焼ミックスでつくり、中に何を挟んでもいいというものです。
 
このように、つくって売るだけでなく、面白いことをしているお店として注目してもらい、人とつながっていき、コミュニティをつくっていきたいです。
 
こうしたイベント企画・運営も、次に述べる秋保での体験型農業でも、若い人に関わっていただきたいです。面白いものづくりでも、感動づくりにおいても、若者の企画力に期待しています。目指せ、「モノ売り」から「コト売り」へ、「時」から「縁」へ、です。

4月4日はどら焼きの日キャンペーン!
こだまランドでの収穫祭

農業法人設立、魅せる農業の構想(こだまランド構想)

農業分野の新規事業を進めていくため、202211月に株式会社こだまランドという農業法人を秋保に設立しました。2027年オープンを目指し、体験型の地域創生事業「こだまランド」構想を進めています。
 
「こだまランド」とは、農業やものづくりの体験ができるキッザニア的な場所でもあり、どら焼きの素材(枝豆等)を作る農園でもあり、老舗こだまの歴史を体感できるミュージアムでもあり、食べて美味しい『食』を楽しめる場所でもあります。
 
代表の児玉の強い想い、リーダーシップのもと、取り組みがスタートしました。

~農家さんの、「日本の農業を変えていきたい」という思いに強く共感~

農業に興味を持ったきっかけは、代表が北海道の小豆農家を視察したことです。
高齢化による担い手不足、耕作放棄地の増加、肥料・飼料の高騰、食料自給率の低下、郵送費の高騰といった日本の農業の現状・課題について話を聞き、農家さんの「日本の農業を変えていきたい」という思いに強く共感し、自分ごとだと感じるようになりました。
 
 

~地元産の枝豆を使いたい!~

こまだの餅入り「ずんだ」どら焼きでは、台湾産のずんだ(枝豆)を使用しています。
ずんだは宮城の名物なのに、地元でつくっていないのを恥ずかしく思ったり、「地元産なので仙台の名物です!」と言えなくて悔しい思いをしてきました。
そこで、枝豆の加工は結構大変なのですが、「もう自分たちでやるしかない!」と、2022年から枝豆農園を始めました。
 
 

~秋保という観光地で「魅せる農業」をしていきたい!~

秋保は、仙台の中心地から車で30分ほどの、県内有数の温泉郷です。もとより温泉街の素敵な雰囲気を醸し出していますが、最近は、若い人や起業家が集まり、新しいチャレンジが広がる面白いエリアになってきています。
オシャレなカフェや作家の陶器屋さんもあれば、震災後にできたワイナリーやクラフトビールのブリュワリーもあります。
 
そんな秋保の新しいカルチャーの中心地、ワイナリー(秋保ワイナリー)とブリュワリー(グレートデーンブリューイング)の間にあるのが「こだまランド」です。
 
素敵な温泉街であり、新しい試みが進んでいる観光地で「魅せる農業」をしていきたいです。観光地のような人が集まる場所で農業をしていれば、こだまのことを知らない人でも、通りすがりに気づいてくれて、自然に注目が集まっていくと考えています。
そして、将来、「こだまランド」もコミュニティの活性化に寄与していきたいと思っています。
 
 

~体験型農業、6次産業化、グローカルへ!~

枝豆の栽培や収穫等、体験型の農場にし、6次産業化して、地域の価値を高めていきたいです。
そして、商品の海外輸出、農福連携、外国の方の雇用など、こだまワールドは広がります。
新しいチャレンジでこだまのブランドを高めながら、グローカルな企業を目指し、若者、地域の人たちと力を合わせて価値共創していきたいです。
 
 

~これまでのイベント、これからのプラン~

  • 20238月に、枝豆の初めての収穫祭をしました。社員、会社関係者、友人、地域の方々に参加いただき、収穫した枝豆をずんだにして楽しみました。
  • 秋保のカフェを貸し切りにして、ずんだづくり体験のイベントを実施しました。
  • 今後、秋保で、夏はビアガーデン、秋はワイナリーを楽しみ、秋保を周遊するイベントを企画予定です。美味しいお酒を飲んだり、どら焼きを食べたりする休日があったらいいなと思います。
  • 「こだまクラブ」といって、ファミリーや若い人たち向けに、秋保で2泊3日の枝豆収穫体験も実施していきます。夕採れの枝豆でずんだ餅づくりをしたり、ブリュワリー(ビアガーデン)やワイナリーを楽しんだ後、旅館で宿泊する等、こだまだけで終わらず、秋保を周遊いただけるプランを工夫したいです。

 
このように、色々な人とつながれる新しい農村づくり、コミュニティづくりを進めていきます。

ずんだづくり体験
カフェを貸し切って収穫祭

~新卒採用との関係~

新卒採用で入っていただくのは、この「こだまランド構想」の実現に関わるメンバーでもあります。
こだまは、時代に合わせて変化していく会社であり、新たな地元の魅力を創造する「老舗ベンチャー」です。そして、現在は、地元の和菓子屋から地域創生の企業へアップデートしていく道程にあります。
ゆえに、こだまのこれまでの仕事や現場を大事にしてくれつつ、挑戦マインドのある人、自分で考えて言動できる若者を求めています。

産学連携の試み

産学連携という、企業と大学が連携して取り組むプログラムがあります。
こだまでは、尚絅学院大学さんとの連携プロジェクトを進めています。これは、授業の一環として、学生さんに、「こだまランド」のコンテンツ企画や運営に参加いただくプログラムです。
 
実際に体験いただいた方が伝わると考えており、こだまのビジョンや新規事業に興味のある学生と出会っていく機会としても楽しみにしています。

尚絅学院大学との連携・調印式 社長スピーチ
取材の様子